一般口座と特定口座の違いと4種の配当金受取り方法
口座開設時に選択の必要性
口座を開設する際、口座の種類と配当金の受取り方式の選択をせまられます。
これから初めて証券口座を開設する方も何もわからない状態でいきなり選択する必要があり、選択を誤ると後々面倒な事になる可能性が高いです。
具体的には以下のような不都合が生じる可能性があります。
- 確定申告を自分で行わなければならなくなってしまう
- 本来払わなくて良い税金を払う事になってしまう
- 年間の損益を自分で計算しなければならなくなってしまう
- 配当金の受取りに手間がかかってしまう
後のち変更する事は可能ですが、手間が増える可能性や手続きが間に合わない可能性もあるので、初めから仕組みを理解し最適な選択をする事をおすすめします。
一般口座と特定口座の違い
まずは『一般口座』か『特定口座』かの選択を迫られます。
平成15年以降、株式譲渡益課税については、申告分離課税に一本化されたため、確定申告をする際の煩雑な手続きを軽減化するため作られたのが特定口座です。
特定口座においても『源泉徴収あり』『源泉徴収無し』を選択する事が可能です。
簡単に違いをご説明します。
| 口座種別 | 年間取引報告書 | 損益通算 | 確定申告 |
| 一般口座 | ✕ | ✕ | 必要 |
| 特定口座 源泉徴収あり |
〇 | 〇 | 原則不要 |
| 特定口座 源泉徴収なし |
〇 | ✕ | 必要 |
年間取引報告書
特定口座を開設した場合証券会社が1月1日~12月31日までの証券口座内での譲渡損益や分配金等の損益を計算した資料を作成してくれます。
そのため、自分で年間の損益を計算する必要が無くなるため非常に便利です。
口座を開設する際は、特定口座での開設をおすすめします。
一般口座の使用用途が無いように思いますが、一般口座は『未公開株』などを購入する際や法人化している会社等で使われる用途があります。
源泉徴収
『特定口座の源泉徴収あり』を選択した場合、証券会社が代わりに税金を支払ってくれるため、証券取引以外に収益が無い場合は原則確定申告が不要になります。
『特定口座の源泉徴収なし』を選択し、確定申告が必要な収益があった際は自分で画定申告をする必要があります。
またまた『特定口座の源泉徴収なし』のメリットが無いと思う方がいらっしゃるかもしれません。
例えば会社員の方で、株の配当金や譲渡益で年間10万円の利益があったとします。
細かい事は置いておいて、年間の利益が20万円以下のため確定申告は不要です。
しかし、『特別口座・源泉徴収あり』を選択していた場合、10万円 * 20% = 2万円の税金を支払う事になります。
あくまでも確定申告は不要なだけであって、仮に年間10万円の利益で確定申告をすれば税金を支払う必要があるためです。
この場合、『特定口座・源泉徴収なし』を選択していれば、2万円のうち1万5千円の税金を支払う必要はありません。(厳密には所得税は不要ですが住民税の支払いは必要なため)
要は、年間20万円以上の利益を出せる方は確定申告の手続きが不要となる『源泉徴収あり』を、20万円以下の方は『源泉徴収なし』を選択すると得をする事になります。
『源泉徴収なし』を選択し利益が20万円を越えてしまった場合は煩わしい確定申告を自分でやれるという方は『源泉徴収なし』も良いかもしれません。
損益通算
損益通算は、『特定口座・源泉徴収あり』の場合のみ行われます。
理由は簡単で、例えば、年間に30万円の配当を得た場合、【30万円 * 20% = 約6万円】の税金が証券会社によって差し引かれます。
配当を受け取った後、株を手放し40万円の譲渡損が発生したとします。
その場合、【30万円 - 40万円 = -10万円】となり、年間損益はマイナスとなり、税金の支払いは無くなるため払った6万円の税金が還付されます。
このように証券口座内での年間損益を通算し税金の支払い・還付を行うことを損益通算と言います。
この損益通算を行ってくれるため、原則確定申告は不要となるのですが、以下の2つに注意して下さい。
- 他の証券会社との損益通算は行われない
- 譲渡損失の繰越控除を適用する際は確定申告が必要
複数の証券会社を利用している際は、証券会社間で損益通算は行われないため、確定申告をする必要が出てきます。
また、損益通算は1/1~12/31内の1年内でしか行われないため、前年等の損益を繰り越す際や、年間収益がマイナスで翌年に繰り越す場合は自分で確定申告をする必要があります。
4つの配当金受領証方式
配当金受領証方式
かつては、配当金の受取り方法としては最も一般的だった方法です。
「配当金受領証」が郵送で送られてくるので、それを持って郵便局等へ行き受領証と引き換えに配当金を受け取るという方法です。
わざわざ郵便局等へ行かなければいけませんし、換金期限もあるのでとても面倒なアナログな方法ですが、一番配当金を受け取った実感はあるかもしれません。
現在はあまり使われない受取り方法です。
個別銘柄指定方式
保有する各銘柄ごとに『配当金振込指定書』を提出する事により各銘柄事に配当金を受け取る銀行口座を指定できます。
新たな銘柄を購入する度に、『配当金振込指定書』を提出する必要があり、銀行への振込が簡単に行えるようになった現在ではあまり利用されない受取り方式です。
登録配当金受領口座方式
複数の証券口座を利用されている方であっても、この『登録配当金受領口座方式』を選択しておけば、すべての証券会社の全ての銘柄の配当金が登録した銀行口座に入金されます。
デメリットとしては、NISA口座には非対応という事(配当金が非課税にならない)と、収益が20万円を越えるなど確定申告が必要になった場合、自分で確定申告をする必要があります。
ただし、細かくは説明しませんが、収益が20万円以下で確定申告が不要な場合は税金を支払っていないため損する事はないというメリットがある場合もあります。
株式数比例配分方式
『株式数比例配分方式』を選んだ場合、配当金は証券口座に入金されます。
同一の銘柄を複数の証券会社で保有していた場合、それぞれの証券会社の保有株式の割合に応じて、配当金がそれぞれの証券会社の口座に振り込まれます。
NISA口座を開設している方は、この方式でないと配当金を非課税にする事ができません。
また、この方式を選んでおけば、面倒な損益通算の計算を証券会社が行ってくれるので非常に便利です。
一番選ばれている方式ではないでしょうか。
覚えておくべきポイント
01受取方式の選択は全証券会社で1つ
例えば、A証券会社では『株式数比例配分方式』を、B証券会社では『登録配当金受領口座方式』というように複数の受取り方式を採用することはできません。
複数の証券会社で登録・変更などの申込みを行った際は、一番最後に手続きが行われ選ばれた受取り方式が採用されるのでご注意ください。
02確定申告の必要性の有無
確定申告の必要性の有無に関しては、
の記事を是非読んでいただきたいのですが、一番おすすめな『株式数比例配分方式』を選び、『源泉徴収あり』を選ばれた場合、一般的な会社員の方の場合、給与以外の収益が20万以上あった際、確定申告が必要ですが、その収益が株の売買や配当金によるものであれば税金は既に引かれているので、確定申告をする必要がありません。
ただし、収益が20万円以下の場合、本来なら確定申告はしなくても良い(税金は払わなくても良い)のですが、既に税金は引かれてしまっているため、確定申告をしても払った税金は返ってきません。
給与以外の収益が20万以下であれば確定申告をしなくても良いと言ってくれているだけで、収益10万円でも確定申告をしてしまえば、株取引の場合その20%にあたる2万円の税金を支払わなければならないのです。
そのため、医療費控除など他の理由で確定申告をする必要のない方で、20万円を越える収益をあげる自身のない方は、『源泉徴収なし』を選ぶのが得になる可能性が高いですが、もし、20万円を越える収益が出た場合は、自分で確定申告する必要が出てくるため、選択が難しくなります。
ちなみに、『源泉徴収有』にした際、損失と配当があった場合、配当からは税金が引かれているため、払いすぎになるように思いますが、『株式数比例配分方式』を選択していれば、損益通算が行われるため、払いすぎた税金は後に還付されますので、ご安心ください。
03年をまたぐ損益通算はできない
『特定口座・源泉徴収あり』を選択していれば、1/1~12/31迄の期間の損益は通算されますが、昨年損失があり確定申告をしており、繰越控除を使いたい際や、本年に損失があり繰越控除の制度を使って翌年以降に損失を繰越したい際は自分で確定申告をする必要があります。
また、複数の証券会社を利用しており、損失のある証券口座と収益のある証券口座がある場合、税金の払いすぎが起こります。
証券口座間で損益通算は行われないためです。
その場合も、自分で画定申告をして払いすぎた税金の還付を受ける必要があります。
給与以外の収入の有無により受取り方法を変える
今回説明したような仕組みをしっかり理解しておかないと、税金面での優遇が受けられなかったり、税金を払いすぎてしまったり、面倒な確定申告を自分で行わなけらばならなかったりと不都合が生じる可能性があります。
これから証券取引を始める方は、まだ良くわからない事も多いかと思いますが、自分の収入や証券取引に回す資金などから予測して、自分にあったものを選択しましょう。